松丸小児科アレルギー科クリニック

matsumaru allergy and children's clinic

家庭でのケア
 発熱
  発熱は体温の調節がくるい、正常より高い状態になってしまった場合に起こります。
【原因】
  感染(風邪など)、脳の障害(脳腫瘍、脳出血など)、体内の熱の産生過多(甲状腺機能亢進症など)、
  体内の熱の放散不良(心臓病、熱射病など)などで起こりますが、小児の場合は感染がほとんどです。

【対処法】
  41℃位までは心配ありません。激しい嘔吐を伴っている、けいれんしている、意識がおかしい(ぐったりしている、
  変なことを言うなど)、顔色がおかしい場合は早めに病院を受診しましょう。

  40℃までは家で様子を見ても良いでしょう。厚着をすると熱がこもってしまうので、寒がらない程度に薄着にします。
  手足が冷たい場合は靴下を被せましょう。よく汗をかくと良いといいますが、汗をかくまでに高熱になったり、寒気がしたり、

  かきすぎると脱水になりますのでやめましょう。
  クーラーは使用してもかまいませんが、直接風が当たらないようにしましょう。
  嫌がらなければ氷枕を首筋、わきの下、股の付け根にあてるのも良いでしょう。
  解熱剤は原因を良くする薬ではありません。下げてしまうと具合が悪くなることもあります。
  使用するのはぐったりしている、頭痛、関節痛がひどい、機嫌が悪い、食欲がない場合だけにしましょう。
  1歳以下は低体温となり、命にかかわる場合がありますのであまり使用しないほうが良いでしょう。

  小児にアスピリン製剤(バファリン、PL、ペレックスなど)をインフルエンザや水痘のときに使用すると、
  ライ症候群といって脳や肝臓が壊れ死んでしまうことがあります。またほかの解熱剤でもライ症候群になったとの報告がありますので、
  現在はアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバ、アルピニーなど)以外はほとんど小児には使用されません。
 

 咳嗽・喘鳴
  咳は気道(空気のとおり道)にばい菌や、ゴミ、痰などが詰まりそれを出そうとする反応です。
  また喘鳴は気道が狭くなることより起こります。
【原因】
  咳嗽は呼吸器感染症(咽頭炎、扁桃炎、クループ症候群、気管支炎、肺炎など)、気管支喘息、肺出血、肺がん、気道異物などで起こります。
  喘鳴は気管支喘息、クループ症候群、乳児の気管支炎、細気管支炎、気道異物などで起こります。
【対処法】
  咳の原因のほとんどは感染症なので、あまり心配しなくて良いでしょう。
  咳が激しく顔色が悪い、夜眠れない、血を吐く、喘鳴を伴う場合は早めに病院を受診しましょう。
  咳は悪いものを出し、気道を広げようという反応ですので、無理にとめる必要はありません。
  水分を十分取り、痰が硬くならないように気をつけましょう。
  カフェインは気道を広げる作用がありますので、濃いお茶、紅茶、コーヒーを飲むと良いでしょう。
  また目が覚めると気道が広がりますので、寝ているときに起きた場合は、散歩やドライブをすると良いです。 
  咳止めには脳に効く咳止め(中枢性)と肺に効く咳止め(末梢性)があります。
  脳に効く咳止めには麻薬(リンコデ、フスコデ、カフコデ、セキコデなど)と麻薬以外の咳止め(アスベリン、フスタギンなど)があります。
  麻薬は強力ですが、副作用が強いので、小児には使用しません。

 下痢・嘔吐
   下痢、嘔吐は腸についたばい菌や有害物質を洗い流そうとする反応です。
  腸が閉塞した場合や脳の障害や血液異常により嘔吐中枢が刺激を受けた場合にも起きます。
【原因】
  胃腸炎、食中毒、食物アレルギー、腸の吸収障害(乳糖不耐症、蛋白漏出性胃腸症など)、腸の閉塞(肥厚性幽門狭窄症、腸重積、がんなど)、
  脳の障害(髄膜炎、脳炎、脳出血、脳の外傷、代謝病(脳に有害物質が沈着する)など)、血液異常(薬物中毒、塩分のバランス異常、
  自家中毒など)などで起こります。
【対処法】
  下痢、嘔吐の原因のほとんどは胃腸炎です。意識がない、ぐったりしている、口の中が乾いている、顔色が悪い、けいれんする、
  頭痛が激しい、血が混じる場合は早急に病院を受診しましょう。
  下痢、嘔吐は悪いものを体の外に出そうとする反応ですので、無理に止める必要はありません。水分補給と食事療法が大切です。
  水分補給は下痢用のイオン飲料(OS-1)がベストです。
  ない場合はビスケットやクラッカーを少しづつとりながらお茶を飲ませましょう。
  水分は少しづつ(多くても50mlくらい、ひどい場合は一口づつ)飲ませましょう。
  冷たいもの、甘いもの、消化の悪いものはおなかに負担がかかりますので、ジュース(成人用のイオン飲料を含む)果物(りんご、バナナ以外)、
  アイス、糖分や油分の多いお菓子(飴やチョコ、スナック菓子など)は避けましょう。
  摂れるようであれば、おかゆ、煮込んだうどん、食パン、カステラ、白身の魚、鶏肉(皮は避ける)、豆腐、卵、柔らかく煮た野菜
  (大根、にんじん、かぶ、白菜など)、乳製品などがよいです。よく乳製品はいけないといいますが、
  それは下痢がひどかったり、長引いた時に腸があれて乳糖不耐症となった場合です。
  乳製品は粉ミルクと一緒で消化の良い食品です。牛乳は煮立てるとさらに腸に負担がかかりません。ヨーグルトは発酵乳で消化が良いです。
  特定の食物で起こる場合は、食物アレルギーの可能性があります。
  下痢止めは食中毒の場合はばい菌がたまってしまうので、使用しません。
  ウィルス性の下痢の場合は、ひどい時には腸があれて乳糖不耐症を起こしますので使用することもあります。 
 
 腹痛
  腹痛はおなかの中の臓器(腸や肝臓、腎臓など)がのびたり、腫れたり、血がいかなかったり、痙攣したり、化学的な刺激、
  腹膜や筋肉の腫れや傷害などにより起こります。
【原因】
  便秘、胃腸炎がほとんどですが、虫垂炎(盲腸)、腸重積、消化性潰瘍などの緊急を要する腹痛もあります。
  また胃腸炎でも細菌性(食中毒など)の場合は重症化することがあります。膀胱炎や水腎症、睾丸炎などの泌尿器疾患、
  女児では卵巣疾患や生理に伴うものもあります。おなかを強く打った場合は内臓破裂の可能性があります。精神的なものもあります。
【対処法】
  おなかを抱えてしまうような腹痛や便に血が混ざる、おなかを押すと激しく痛がる、顔色が悪い場合はすぐに病院を受診しましょう。
  便秘の場合は果物や野菜などの繊維質の多いものをとったり、綿棒浣腸やイチジク浣腸がお勧めです。
  胃腸炎の場合は下痢・嘔吐の食事療法がよいでしょう。
 

 けいれん
   けいれんは脳に大きな刺激が加わり、筋肉が異常興奮してしまっ状態です。
  一般的には気を失って、全身がピクピクしている状態をけいれんと呼んでいますが、部分発作といって脳の一部分だけが興奮すると、
  変なものが見える、変な音がする、右手だけピクピクするなどの症状がでる場合もあります。
【原因】
  乳幼児期のけいれんは発熱がある場合は熱性けいれんがほとんどです。
  そのほか髄膜炎、脳炎、代謝異常(体の中で必要なものが作り出せず、異常な物質が脳内にたまってしまう。)、低酸素、てんかん、
  脳出血などがあります。また有害物質を誤食して起こることもあります。
  学童期以降ではてんかんが多くなります。そのほか過換気症候群、熱中症、ヒステリー、詐病などがあります。
【対処法】
  熱性けいれんの場合は、5分くらいで自然に治まりますので、衣服を緩め、顔を横に向け吐物を飲み込まないようにして様子を見ましょう。
  10分以上続く、左右のどちらか半分だけ、繰り返す、息がおかしい、頭を強く打った、有害物質を誤食した場合などは救急車を呼びましょう。
  舌を噛むことはまずありませんので、口の中に物を入れるのは止めましょう。口の中を切り出血したり、吐いたり、歯を折ったりして、
  それらが喉に詰まり窒息してしまいます。
  解熱剤は切れたときに、急激に発熱し、けいれんを誘発しますので、お勧めしません。
  熱性けいれんはほとんどが一生涯で1~2回程度しか起きませんので、繰り返さない限りは発熱時にけいれん止めの座薬は必要ないと思われます。
  熱性けいれんでも繰り返す場合やてんかんの場合はけいれん止めの投与が必要です。